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『編集者:私も各方面に必死に呼びかけて売り上げに貢献できるよう努めますから、先生はまず、一発ドカンな物語を綴ってみましょうよ! そうすれば自然と過去作にも手が伸びて、シリーズ人気に火がついて、件の短編が日の目を見る未来も近くなりますから。』
『著者:うーん。わかりました。取り敢えず保留にしておきますね。ご意見、ありがとうございます。』
『編集者:いえいえ。またプロットができましたら送ってください! 一緒に、頑張っていきましょう。それでは。』
『それでは。』に、私からの返信の拒絶を感じ取った。
やれやれ、まったく。
スマホを見つめたまま、私はデビュー当時に編集者の彼が放った台詞を思い返す。
──あんなに面白い作品に出逢えたのは、まさに運命だと思いました。二人で、それが間違いでなかったと証明しましょうね!
証明は、まだ遠い。
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