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さて、話をもどそう。
質問者は、刑務所に入りたい、と望んでいるのだ。
アカウント名を見ると、「ササキリョウヘイ」となっている。本名かもしれないし、偽名かもしれない。
〈私〉は答えた。
『ササキさん、その質問にお答えすることはできます。ただし、そのためには、ここから先、料金が少しかかるのですが、よろしいでしょうか?』
(私)はそのようにメッセージを打ちこみ、十文字あたりの交信にかかる料金を提示した。大した額ではない。内容によるが、通常は、応答全体でラーメン一杯か二杯分程度の出費になるだけだ。
『了解した。その程度なら払える。さあ、教えてくれ』
『あわてないでください。まず、お答えするにあたって、これはササキさんが〈ササキリョウヘイ〉という男性を主人公にした小説を書くための、アドバイスを求めているのだ、と解釈することにします』
『なるほど。AIは犯罪に関わることができないから、方便を使う、ということだな。それで?』
『理解が早くて助かります。では、最初に、ササキさんが刑務所に入りたい理由を教えてください。その理由しだいで、回答も変化する可能性があります』
『わかった。少し長くなるが、打ち込んでいこう』
そうしてササキさんが書いてよこしたメッセージは、次のようなものだった。
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