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01 そうして僕は死んだ
クソみたいな人生だった。
クズみたいな人生だった。
そんな人生が今、終わろうとしている。
職なし金なし彼女なし。
いるのは、唯一の幼友だち。
いや、お姉さんみたいな存在だろうか?
少し歳上のお姉さん。
その人しか、友だちはいない。
そのお姉さんの名前は、水樹さん。
水樹さんは、小さい頃からよく面倒を見てくれていた。
今でもたまに連絡を取っては遊んで貰っている。
といっても僕の人生はもう終わる。
多分。
終わる。
意識を保ったまま倒れてもう3日は過ぎている。
身体が動かない。
いろんな音が耳に入る。
誰かの生活音。
猫の鳴き声。
近所の犬。
今まで鬱陶しかったけど。
こうなってしまえば全てが愛おしく。
全てが苦痛だ。
そして、何より怖い。
流れ出る汗。
そして、乾く喉に空腹感。
何も食べれない。
何も食べない。
ただ死が近づくのを感じるのみ。
ああ、このまま人生が終わるのか。
こうなってしまえば考えることは悪いことばかり。
いじめられていた子ども時代。
不遇な扱いを受けた社会人時代。
じわりじわりと襲ってくるのは恐怖のみ。
身体が動く奇跡が起きないのなら……
いっそうのこと早く死にたい。
そう思うと自然と涙が溢れる。
流れているのかわからない涙の感覚。
誰かの笑い声が聞こえる。
とても楽しそうだ。
でも、僕は楽しくない。
とてもつらい。
頭から意識を引っ張られる感覚がする。
僕はもうすぐ死ぬ。
ああ、死ぬんだ。
さようなら世界。
さようなら世界。
さようなら世界。
どうか来世では、もっといい人生になりますように……
こうして僕は死んだ。
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