01 そうして僕は死んだ

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セミが鳴いている。 暑い。 僕は横になっている。 身体が動かない。 頭はぼーっとしている。 なんだこれ…… 頭が痛い。 ドロリとした感覚。 なんか粘っこい…… ゆっくり目を開ける。 あたりは血の海。 「おい、こいつ虫の息だけどどうする?」 荒っぽい男の声が聞こえる。 「ほっとけ。どうせ死ぬ。  お前ら、早くその辺のヤツの目玉を抉っとけ。  赤目の目玉は高く売れるぞ?  売れたら酒と女を買って宴だ」 男たちが物騒なことを言っている。 何だここ。 まさか異世界転生ってやつか? だったら特殊能力で無敵の力を得て彼女も出来てウハウハ…… ってそんなわけないか。 有名なやつはそうなって。 俺みたいな雑魚は無名のまま死ぬんだ。 なんだよ。 転生して速攻死ぬとか意味わからんぞ。 ってあれ?どうして俺はここが異世界だと思うんだ? もしかしたら日本かもしれないぞ。 まだ死んでいなくて、強盗が来て笑っているのかもしれないな。 「おい、この生きている女はどうする?  年頃だが売れないか?」 「殺せ!  コイツらは感情が高ぶると周りの存在を赤いものに変える。  感情が高まる前に殺せ!」 「ちょっとくらい触っても……」 若い男が女に触れる。 「いやあああああ!!!」 若い男は燃えた。 それと同時に女の胸に穴が開く。 女はそのまま絶命した。 「あー、死ぬかと思った」 燃えたはずの男が笑う。 ああ、なんなんだ。 魔法の世界か? だったら僕にも魔法が使えないかな。 周りの男達は笑いながら倒れている人の目玉をほじくっている。 「どれその子供はもう死んだか?」 男が僕に近づいてくる。 「なんだまだ生きてるじゃないか」 男は僕の頭を掴み持ち上げる。 こいつどれだけ巨漢なんだ? 僕の身体を持ち上げるなんて…… 鏡に映る姿には子供とそれを持ち上げる大柄な男の姿があった。 「こいつ青目じゃないか!」 男は僕を床に叩きつけた。
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