01 そうして僕は死んだ

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そうしてご飯を食べれたのはそれから5時間後のことだった。 それも過酷なご飯だ…… 「ほらシエラ!ドラゴンの卵を採ってきたぞ!」 「わぁ!先生!怒ったドラゴンも付いてきてますよ!  今日は親子丼ですね!」 僕の世界にはドラゴンと卵で親子丼という概念はない…… イグアナと卵で親子丼って言っているみたいじゃないか…… 「ドラゴンはドラゴンでもファイアードラゴンだぞ!  シエラ、アイツの塩焼きは美味いぞ!」 「ファイアードラゴン。  って、炎属性のドラゴンじゃないんですか?  炎で体力を回復したり耐性を持っていたりしないんですか?」 僕はそんなことを言ってみた。 まぁ、ゲームの世界じゃないしそうとも限らないんだけど…… 「異世界人は知識が深いな。  そうだぞ、ファイアードラゴンは火を吹くし。  火を食べるし大好物だ」 清空さんは上機嫌で行った。 「じゃ、どうやって焼くんですか?」 「シエラ、見せてやれ」 「はい!先生!」 せんせいあのね。 今、4歳の女の子がファイヤードラゴンに戦いを挑んでいます。 僕はお腹が空きました。 きっとファイアードラゴンもお腹を空かせているのでしょう。 でも、4歳の女の子ひとり食べたところでお腹は膨れないでしょう。 シエラさんはナイフをひとつ片手にファイアードラゴンに挑みます。 ナイフで戦うの?そんな小さなナイフで? そう思ったらシエラさんはナイフを投げます。 勢いよく飛んだナイフはファイアードラゴンの足元にポテンと落ちます。 シエラさんは何度も何度もナイフを投げます。 んっとこしょ。 どっこいしょ。 ナイフは届きません。 んっとこしょ。 どっこいしょ。 でもナイフは届きません。 んっとこしょ。 どっこいしょ。 やっぱりナイフは届きません。 「さて、先生。  下ごしらえはできました」 シエラさんはそう言ってニッコリと笑います。
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