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今日、他の6名にこれから初めて対面する。お互いに多少の警戒心はあり、オンライン上でもまだ顔は見せあっていない。共通していることはただ「ハル推し」という一点のみだ。年齢も職業も性別もわからない。
でも、本名は不明だが、Katie(ケイティ)は生まれ年をプロフに書いていたので、それが嘘でなければ高校生だろうと思われた。実は男です、とDMで教えてくれた。男の子のミリオンズはめずらしい。ハルが知ったらどんなに喜ぶだろうかと思うと菜々美は顔がほころんだ。
いったいどんな面子が待っているのだろう。リスクを伴う出会いではあるが、お互いに気持ちは一つであることだけを信じての賭けのようなものだ。
スマホが震えた。Katieからのメッセージだった。
『もうみんな揃っています。いまどの辺ですか』
『遅れてごめんなさい。あと数分。もうドーム・シティについています』
ドームに向かう階段を上る。菜々美は緊張と興奮で脈拍が上がるのを感じていた。いつものライブに向かう高揚感とは違う種類の胸の高鳴りだった。
(ついにこの日が来た。待ってて、ハル!)
7人の想いを一つにして、ハルに伝えるのだ。ハルを励ますのだ。それがハルへの恩返しであると信じて。
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