AIの向こうには

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「ファイアボルト!」  拳を覆う焔が火の玉となり、相手に向かって飛んでいく『これが決まれば俺の勝ちは確定だ』だが、火の玉が直撃しようとしたその瞬間…。 New Challenger!  軽快なリズムと共に視界に入ってきた挑戦者の文字『あと一撃だってのに誰だ?』俺は首をグルグル回して肩周りの筋肉をほぐす、VRゴーグルを直し両手首をプラプラさせファイティングポーズを取り直した。  ここは駅前のゲームセンター、プレイしているゲームはもちろんアルティメットファイターVR、スマホアプリに()され下火となっていたハード業界に現れた救世主だ。  体感型のゲームで、ボタンの他にモーションキャプチャーにより実際の動きも反映される、だから思い切りパンチを撃つ動き(モーション)と強パンチボタンを組み合わせれば、普通のパンチでも大ダメージを与えられる、もちろんかわされれば隙も大きいのだが。 「グレイトファングか…」  ユーザーネームまで登録してるし、結構ガチでこのゲームをやり込んでますって奴だ、使用キャラはレスラー・ファング、飛び道具を一切使えない代わりに鉄壁のガードと一撃必殺の投げ技を持つ玄人好みのキャラだ。 「毎度毎度、懲りないねぇ…」  俺の使うキャラは主人公のライバルキャラ、と言っても見た目が違うだけで主人公キャラと全く同じ性能、飛び道具あり、投げ技有り…まぁ、初心者用っちゃ初心者用なんだけど。
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