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マリーがどうにか整えてくれた部屋で夜を明かし、公爵領から持ち込んだ食材を使って朝食をとりながら今後のことを相談する。
「食材はもちろんなんですが、リネン類など足りないものはたくさんあります。
公爵領から送られてくる物資で生活だけでしたら何とかなるとは思いますが」
「そうよね……見たところお店のようなものもなさそうだし」
マリーの言葉に頷きながら、私も考える。
このイデリードに来るにあたって、定期的に公爵領から様々な物資を届けること。
これだけは母も兄も絶対に譲れないと言われた。
私としては断りたかったんだけど、いざ来てみるとそれがないとどうにもならなかったのも事実だ。
そんな見通しも出来ていなかったなんて、本当に私は世間知らずだったんだなと実感する。
そんなことを考えながらマリーと食事を続けていると、不意に家の扉がノックされる。
「誰かしら?」
「とりあえず出てみますね」
私が頷くと、マリーが対応に出る。
耳を澄ませていると、どうやら来客は年老いた男性のようだ。
マリーと何か話している声が聞こえて来る。
「お嬢様、この周辺のまとめ役をしているという方が来られています。
お会いになりますか?」
「そうね、会ってみましょう」
戻って来たマリーの言葉に頷いて席を立つ。
当分ここて過ごすつもりだし、この辺りの代表の方とは早めに顔繋ぎをしておいた方が良いだろう。
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