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「何、もしかして照れてる? んじゃあ、タカちゃんならいい?」
「殺す!」
馴れ馴れしい奴を通り越して、フザケた奴だと感じるとキッと相手を睨んだ。羽柴は両手にプリントを持ったまま、顔を近付けて口元を尖らせた。
「あーん、その怒った時の顔とクールな目、素敵! タカちゃん照れないで♡」
「来るな、気色悪い! あとその名前で呼ぶな!」
後ろに下がると本能的に顔をサッと避けた。羽柴はオカマみたいな喋り方でふざけて来た。コイツがお調子者で周りから嫌われてる理由が何となく分かった。さっきよりもウザくなり、早くこのプリントを教室に運ぼうと前に早歩きした。
「――で、砂原がどうしたって? お前がさっき隣でハッキリと名前を口にしてたの聞いだぞ?」
羽柴は急に真顔になるとニヤリと笑う。
「うるさいな。お前にはそんな事、関係ないだろ? 俺は別に……!」
「別に?」
其処で立ち止まると手紙の話しと彼女の話をする。
「あの子と一日だけデートの約束したんだ。俺、そう言うの分からなくて。お前ならどうする……?」
「へぇ、良いんじゃね?」
「だからそうじゃなくて……!」
「何が?」
「そう言う時のだよ……!」
「だから何の?」
俺が言いづらそうな顔をしてると、羽柴は気が付いてニヤッと笑った。
「あー分かった。そう言うことか、この俺にデートのアドバイスをして欲しいんだな!?」
『デカい声で言うな恥ずかしい!』
「任せろ友よ、この恋愛スペシャリストのともきゅんが素敵なアドバイスをしてあげよう!」
アイツは何故か自信気に話すと、目をキラキラさせて調子の良い事を言い出した。
「自分でともきゅんとか言うな、頭悪そう……」
『お前それが人にアドバイスをもらう態度かっ!? 冷めた目でボソッと言うな、俺が痛い奴だと思われるだろ!』
「……」
『そこ黙るな、何か言えよ!』
羽柴が焦って言ってくると俺は小さな声で頼んだ。
「じゃあ、お願いします……」
「言いだろう! お前には日頃、世話になってるからアドバイスくらいはしてやる!」
其処で威張った感じで話してきた。内容は正直ためになるのかも分からない話しだったが、俺はその話しを何となく聞いた。そして、最後に『大事なこと』を教えてやると言ったのでアイツに耳を傾けて聞く。
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