第7話―愛の迷路―

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「私もごめんなさい。貴方の気持ちも知らないでいきなり手紙なんか押し付けて。それで困らせたなら本当に悪い事をしたと思います」  彼女のその言葉に俺は戸惑った。 「いや、いいんだ……。俺は別に…――」 「一つ聞いても良いですか?」 「何……?」 「断る理由を教えてくれますか?」 「ッ……!」 其処で理由を教えて欲しいと聞かれると、顔から急に冷や汗をかきそうになった。 「そ、それは…――」  答えられずにいると彼女は思いきって聞いてきた。 「正直に答えて下さい。貴方に彼女は居ますか?」 「え……?」 「私、どうしても知りたいんです……!」  真剣な顔で聞かれると俺も隠さずに正直に答えた。 「居ない――」 「そうですか、分かりました……。貴方に彼女さんが居るって言われたら断られる理由が悲しくて、泣いちゃう所でした」 明るく笑うと落ち込んだ様子も見せずに、彼女は手紙を持って話す。 「あの、一つだけお願いがあるんです。たった一度でいいです。私と一日デートしてくれませんか?」 「え……?」 「お願いします、それで貴方の事は忘れます……!」  彼女に突然『デートをして欲しい』と誘われると、俺は驚いて焦った。 「そ、それは……!」 「私、相葉さんのことが本当に好きなんです……! 断られておいて図々しいのは自分でも解っています。でも、せめて貴方との思い出を私に下さい…――!」 真っ直ぐな純粋な思いに、俺は彼女にどう言えば言いのか分からなくなった。でも、何故かその誘いを断われ無かった。きっと彼女の真剣な()が、そうさせたに違い無い。其処で考えると一言返事をした。 「一日だけなら……」 「ほ、本当ですか…――!? 嬉しい! ありがとうございます!」  彼女は明るく無邪気に喜んでいた。正直、自分でも戸惑った。誰かと一緒にデートするなんて考えもしなかった。だけど、目の前で少女が嬉しそうにしている姿を見ていると、その『選択肢』も悪くないかも知れないと感じた――。
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