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エピローグ
芝生の庭には、きららの喜ぶ遊具が並ぶ。
ブランコ、シーソー、三輪車、よちよち歩きの頃から桔宙は芝生を駆け回った。
ヒヤヒヤしながら見守る真宙と桔平をよそに、無邪気な顔で遊びに夢中だ。
膝をついて両手を広げると、どこにいても走って胸に飛び込むきらら。
抱き上げて桔平を見ると、目を細めて親子を見ていた。
きららを下ろすと、真っ直ぐに桔平に向かって走り出した。
「きっぺいママ」
桔平も両手で抱きしめる。
甘い子供の匂いが広がって、胸が切なさで溢れる。
「きらら、パパの所においで!」
「いやだ、ママがいい」
「きらら、ブランコに乗ろう」
「うん」
桔平の手を逃れ、ブランコに向かって走る。
母屋の縁側で見守る両親が三人に笑顔を向けた。
「そろそろお昼ご飯にしましょう」
「おばぁちゃま、ぼくおなかすいた」
「きららは沢山食べるからね、いっぱい作ったわよ」
「おじいちゃま、一緒に食べよう」
「はいはい、きららに負けない様におじいちゃんも沢山食べなきゃな」
きららを中心に笑顔が広がっていく。
真宙が桔平に手を伸ばし、手を繋いで母屋へ向かった。
「真宙、きららをお兄ちゃんにしてやろう」
「ダメだ、子供はきららだけでいい。」
「・・・・・真宙!」
「もう2度と桔平をあんな目に合わせたくない、出産で桔平を失うぐらいなら、子供はきららだけでいい」
「真宙・・・・・」
あの日のことを真宙は忘れられなかった、電話に出ない桔平の事が不安で自宅へ帰って見た桔平の非常事態!
あと少し遅かったり、誰にも発見されなければ、今頃桔平は居なかった。
子供の存在よりも、もっと大切な桔平が居なければ意味がない。
自分にとって桔平は唯一無二の番だから・・・・・
五人で食卓を囲みながら、真宙はこの幸せを守りたいと思った。
きららをお兄ちゃんにする事よりも、桔平を守りたかった。
その為に、きららが兄弟を持てなくても構わない。
スプーンを持って、ご飯を口に運ぶきららに桔平が優しく微笑んだ。
ポロポロとこぼれたご飯を拾いながら自分の口に入れていく。
桔平は愛情溢れるいいママになった。
きららがバース検査でアルファだと分かった時、桔平は心ひそかに安堵した。
オメガが嫌だとは思っていなくても、息子が差別を受けるのは避けたかった。
アルファなら、そんな思いをしなくて済む。
リーダー性やカリスマ性に優れたアルファとしての資質!
オメガの自分が味わった事は自分で終わりにしたかった。
きららには明るい未来が待っている、真宙や祖父と同じアルファとしての輝かしい未来。
この世界に三種のバースが存在するのなら、息子にはやはりアルファであって欲しい。
真宙と同じように、あらゆる才能に恵まれ容姿に優れたアルファの男に育って欲しいと願う。
親としての欲かもしれないが・・・・・
祖父から息子へそして孫へと受け継がれた最強の力を桔平は図らずも歓受した。
おわり
続編書きました。
幼稚園へ行くきららです。
https://estar.jp/novels/26142485
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