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香月 真宙
香月真宙はアルファの父とオメガの母の間に生まれた。
ヒエラルキーの頂点と言われるアルファは名門として世界を支配している。
香月真宙の父は容姿端麗で、幾つもの企業の代表でもあり、相談役として政財界、芸術、芸能、スポーツ界を牛耳っていた。
その父に負けず劣らず香月真宙も容姿はもちろん、学校の成績も美術も音楽もスポーツも他のアルファよりも更に秀でていた。
それは香月真宙がアルファの中でもさらに貴重なアルファSという、奇跡にも近い存在によるものだった。
アルファの中でもアルファSは特別な存在として認められている。
稀に凶暴なアルファSが存在し、発情期のオメガを犯り殺しても罪に問われることはなく、あらゆる犯罪行為ですら特赦が与えられていた。
香月真宙はアルファSとはいえ誰にでも優しく性格も穏やかで、人当たりもよくクラスの中で人気者だった。
香月真宙の通う高校はアルファ、オメガ、ベータが同じ学校に居るとはいえ、校内は厳重に仕切られ、登下校の門も別々でお互い話すことはもちろん、顔を合わす機会もなかった。
アルファの真宙はオメガの発情期がどうゆうものか、学校で教えられ親から注意された以外の事は全く知らなかった。
番になったオメガと離れることなく一生愛すると言う事だけを信じ、父と母をのように暮らしたいと思っていた。
自分もいつか愛するオメガと番になり終生一緒に住むことを夢に見ていた。
番はアルファとオメガだけの強い絆で結びつき、発情したオメガとの行為の中、アルファがオメガのうなじを噛むことで成立し、オメガにとって唯一の存在になる。
運命の番は出会った瞬間、惹かれ合い恋に落ちると言われている。
そんな真宙が間宮 桔平に逢ったのは、天の配剤としか思えない偶然だった。
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