エピソード 5

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エピソード 5

そのようなループが無限に続くかと思われたが、AIロボットはともかく、生身の人間には何の約束もない。 ムラカミが逃げた。 会社の有り金を持って、行方不明となったという。  当然、系列店全てが突然無期限休業となったが、正直驚きはなかった。 ムラカミらしいといえば、確かにそうだった。 実は以前から業者への支払いが滞り、店長らの給料も支払日に振り込まれていなかった。 いつでも「自分は悪くない」と言い張るタイプだったが、今回もおそらく例外ではない。 あの男は、たまに浮いた金を道楽に注ぎこんで、足りなくなると、業者や俺たちへの支払いを先延ばしにしてばかりいた。 金を扱う才能がてんでないのに、なぜ社長にまで登りつめたのかは謎だが、会社が潰れるべくして潰れたことには何の不思議さも感慨もない。
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