エピソード 2

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総じて女性ロボットは勤勉でそつなく仕事をこなすが、褒めるとさらにパフォーマンスレベルが向上するといった情緒的な面を持ち合わせている。 それはそれで良いのだが面倒な面もある。平等に褒めないと、他の女性ロボットらに嫉妬心が生まれて、サボタージュで仮病等で休んだり、作業スピードを落としたりすることがある。 例えばある朝、このようなことがあった。 「おはようございます。残念ながら本日はエラーにつき業務不可能です」 「どうした?」 「子どもが熱を出して……」 「それは大変だな……て、自分、子どもなんかいないだろ?」 「小さな子どものいる設定なんです」 「その設定に何の意味があるんだ?」 「そのような質問をされても、私は答えられません」 そこから問い詰めても、そのロボットはそれきり沈黙したまま、動こうとはしなかった。 店内に代替機なんかあるわけがないから、俺が彼女を倉庫か控室に退けて、そのポジションに入りながら店を仕切ることになる。 来客の多いと、人員不足によるサービスの遅れでクレームも発生しやすくなる。 そのような業務の生産性を落とす設定まで作り込んだロボット開発者の神経を疑う。 よほどのM志向のようだが、あいにく俺にはそういう趣味はない。
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