act.1

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私からの告白に彼はたいそう驚き、戸惑っていたけれど「ぼ、僕でよかったら」と真っ赤になりながら告白を受け入れてくれた。 この時初めて生まれて来てよかったと実感した。 しかし付き合い始めて一か月。 初めて彼に求められ、私も彼にならと臨んだ初めてのラブホテル。 シャワーを浴びて戻って来た私を見た彼がいきなり動揺して言葉少なに部屋から出て行ってしまった。 部屋にひとり残された私はただ呆然とするしかなかった。 それから突然彼と連絡が取れなくなった。 いつの間にか食堂のバイトも辞めてしまっていて彼は完全に私の前から消えてしまった。 どうしてこんなことになったのか私には何も思い当たることがなかった。 ただあの時、シャワーを浴びた私はいつも引っ詰めていた髪の毛を解き伊達眼鏡を外しただけだ。 まさか素顔の私が彼好みではなかったのか? 彼は髪の毛を束ねた眼鏡っ子が好みだったのか?!──なんて考えるまで悩みに悩んで悲しんだ。 初めての恋を訳の分からない内に失くし、それでも彼のことが忘れられなくてそれ以来ずっと彼を想い続けてしまっている愚かな私だった。 あれから11年。 私は言い寄ってくる数々の男性に心動かされることなくただ勉強や仕事にまい進して来たのだった。
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