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act.2
仕事で空虚な心を埋める日々のとある日──。
「会食、ですか?」
「そう。二号店は日本に出店するということでうちと取引のある店を紹介してくれって社長直々のお達しで」
部長に呼ばれ訊かされたのは接待の話だった。
海外からのバイヤーの通訳のために会食という名の接待に出るのは珍しいことではなかったので今回も同じように特に何も考えずに承諾した。
(3年前にニューヨークに出店したレストランが好調でその二号店を日本で……か)
その日の夜、会食会場となった料亭で交渉相手の資料に目を通していた。
すると同席していた営業部長の携帯が鳴り席を外すといって個室から出て行った。
(しかし凄いお店ね)
指定されたお店は有名な高級料亭で、庶民が気軽に行けるような処ではなかった。
仕事でなければ当然私も行くことが適わないお店だ。
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