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慌てて頭を下げ謝罪の言葉を口にした。
「も、申し訳ありません!」
「……」
「あの……わ、私はそういう事には応じられない身で」
「……」
「先ほどの告白についてもお断りします」
「ナゼ?」
「え」
「ナゼ僕を拒みますか。社会的地位も名誉も、そして自分でいうのもなんですが僕の容姿は優れています」
「……」
(凄い自信家ね……普通いわないわよ、自分で)
でもそのビッグマウスを笑うことが出来ないほどに彼の持っているものは全て完璧だった。
「君を幸せにする自信が僕にはあります。僕以上の男なんて──」
「無理です。あなたに私を幸せにすることは出来ません」
「ナゼ?」
「私には好きな人がいます。彼しか私を幸せにすることが出来ません」
「彼? ……それは君にsteadyがいるということ?」
「違います。昔……付き合った人です。ある日突然私の前からいなくなってしまいましたが彼のことが今でも好きなんです」
「……」
どうしてこの人に根掘り葉掘り話しているのだろうと心の底で思いながらも、忘れられない彼のことを熱っぽく語ってしまった。
(あぁ……もうお終いだわ)
会社にとって大切な取引先の社長にこんな失態を晒してしまったからにはいよいよ辞職させられると考えていた中、静かに聞こえて来たサージェストからの奇妙な声に気が付いた。
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