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(? 何の音……?)
「くっ、ふぅ……」
声の発信源を辿るとなんとサージェストが声を押し殺しながら泣いていた。
「ミ、Mr.サージェスト?!」
突然のことに驚き、思わず彼の肩に手を置いた。すると私の手を握り締めながらサージェストが口を開いた。
「そんなにも……僕のことを……」
「え」
「君はずっと……ずっと僕のことを想ってくれていたっていうのかい?」
「……あ、あの?」
「ごめんね、結ちゃん」
「?!」
その瞬間、私の気持ちが11年前に引き戻された。
『結ちゃん』──それはあの彼が私を呼ぶ時の言い方だった。
「な……な……あ、なた……」
「騙していてごめんね。僕は……鈴木祐輔だよ」
「え……え、え、えぇぇぇ?!」
なんという驚き、なんという展開──こんなご都合主義みたいなことなんてあるのだろうか。
「結ちゃん、本当にごめん。今の事といい、11年前の事も含めて心から謝罪します」
「あ、あの……祐輔、さん……え? 本当にあの祐輔さん、なの?」
「そうだよ。正真正銘、僕はあの鈴木祐輔だよ」
「……」
「ははっ、信じられないよね。ご覧の通り見た目も社会的立場もあの頃とは違い過ぎているからね」
「なんで……どうして……」
「きちんと説明するね。11年前、突然結ちゃんの前から姿を消した理由を」
「……はい」
余りにも突然の展開に驚き過ぎているけれど、そのほんの片隅には11年前のあの時の恋しい気持ちが張り付いていた。
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