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学生服姿の神様
「お腹痛い……」
可愛がっている白馬・ペガソスから降りて、厩舎へ行って少し休もうと歩きだすと、ますます下腹部のあたりがギュウと締め付けるように痛みました。
アレには少し早いような気がするのだけれど……。
なんだか下の方も冷たくなっているような……。
どうか、血がついていませんように。
私は、白い乗馬ズボンに月経(※生理)の血がついていないことを祈ります。
先月の月経がいつだったか思い出しながら、ペガソスの手綱をゆっくり引いて歩きました。
すると、もう我慢できないほどの下腹部の痛みが襲い、脂汗とも冷や汗ともつかない汗がこめかみを流れます。
急に、目の前に夜がきたように辺りが暗くなるのを感じ、立っているのも難しく、その場にしゃがみこんでしまいました。
あぁ、どうして毎月このような仕打ちを受けなければならないのかしら。
やはり私が、妾の娘なんて不埒な存在で、しかもこの大和魂の国・日本で、金髪に青い目の「バケモノ」が暮らしているから神様がお怒りなんだわ。
どうぞ、私はこれ以上私のような、不浄の子どもを産みませんので、神様、お赦しください……。
お腹の痛みに耐えながら、心の中で、神の赦しを請うていました。
「You look unwell. What's the matter ?(体調悪そうだね。どうしたの?)」
突然、頭上からきれいな発音の英語で、響く低い声。
私が思わず顔を上げてみると、彫の深い顔に、切り込んだような二重瞼の、優し気な瞳が私を見ています。
太陽を背に逆光で輝く姿は本当に神様のようで、私は一瞬痛みも忘れました。
学帽に、擦り切れた学生服とマントを羽織った高下駄姿の……神様?
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