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第4話 私はジビエ料理人①
「……何しようとしとるん?」
猫又ちゃんに呆れられるのも仕方がない。
私はなんと、素手で猪もどきこと六角ボアと言う生き物を引きずろうとしていたのだから!
「ん〜〜!? 押せない!!」
早く血抜きとかしないと……せっかくのお肉がダメになってしまう。それに死体となったら熱を放出するから肉が悪くなってしまう。
狩猟経験はないが、仕込みなどの時に師匠である料理長からも手厳しく指導を受けた。
料理人とは猫又ちゃんに言ったが……私は普通の和食洋食とかの料理畑ではない。
酪農などで手に入る動物をあまり扱わない……ジビエ肉専門の小料理屋での下っ端だったのだ。
女だからって、やれないことはない! と意気込んでみたものの……六角ボアとやらは、結構大きくて重くて。
異世界に転移させられて、腕も完治したからって非力には変わりなかった。
「……嬢ちゃんも肉食いたいん?」
「た……べたい、けど! ちゃんと……下処理……しなきゃ!!」
「……下処理?」
「お、肉を……美味しくする方法!!」
だから、肉を一旦冷やすのに川へ行かなくちゃ。
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