第96話 長老の好物

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 一応メニューは渡したが……ちょくちょく来てくださる彼女には、お決まりメニューがあるのだ。 「え……っと……、ぎ、ギアラ……のスープを」 「はい。お酒はボトルキープので?」 「お……お願い、します」 「かしこまりました」  準備はほぼ出来ているので……スープを温め直したら、カウンターの上に置いたんだけど。 「な、なんじゃ。その料理は!」  焔の長老様もだけど、長老おじいちゃんも初めて見るからびっくりしていた。 「ギアラを捌いて……味付けしたスープで煮込んだものです」 「……ほう? 美味いのかえ?」 「ユキトさんはお気に入りですね?」 「お……おい、しい……ので」 「お肌にもいいんですよ」 「なんと!」  焔の長老様は興味を持ったのか、目をすごく輝かせてくれたわ。 「ユキトさん、甲羅を半分にしても?」 「は、はい。だ……大丈夫です」 「少しお借りしますね?」  割って、器に盛り付け……長老おじいちゃんも少し食べたがっていたので、残っていた脚とスープを出した。  食べ方を伝えると……初めてのおふたりはしゃぶるように口にすれば。
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