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第97話 侵入者
……来た。
来たんだ。
とうとう……来てやったぜ、人間!!
扉を蹴破る勢いで開けたら……今までにないくらい、むちゃくちゃ良い匂いがしたが。
くよくよしてる場合じゃねぇ!!
俺は……ここに居る人間を、里から追い出すと決めて来たんだ!!
とは、思ったのだが。
(…………想像以上に、長老らがいやがる)
マジで、この匂いの素である……美味いもんに釣られてきたのか。
そんなに……美味いのか?
食いて……じゃねぇ!!
奥でぽかんとしてる……ガキみてぇな人間が目的だ!!
「……いらっしゃい、ませ?」
声をかけてきたが……俺はその言葉に応えるつもりはねぇ!!
「……この里から、出て行ってもらうぞ。人間!!」
咆哮に近い、バカでかい声で……俺は言い切ったのだが。
人間が驚く前に……なんでか、雪の長老がいきなり俺の前に立った!?
「…………何を言うのだ?」
おどおどしてて、他との関わり合いを避けていたはずの……気弱な性格で有名な雪の長老が。
髪の隙間から、鋭い目を向け……俺に問いかけてきた。
「……は! 長老だからって止めれるものか!? ここいら一帯は、俺ら『斑』の領分だろ!?」
領域に侵入してきた、人間が悪い。
長老らの許可があったとしても……だ。
「「「「「あ゛?」」」」」
俺がそう言い切ると……他の長老もだが、ネコマタの孫まで俺に敵意を向けてきやがった。
舎弟らはともかく……俺まで怯むわけにはいかねぇ!!
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