第3話 本能は抗えない

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 なんでも、突進で相手を落とす行動をするとか。  それなら全速力で逃げるに限る!! 「……なーんや、うるさいわぁ?」  頭の中で声が聞こえてきた。  あの美女神様ではない。  もっと気だるい感じ……あと少し関西弁ぽい?  横を見たりする余裕もなく走っていると、頭に何かが乗ってきた! 「な、なに!?」 「なんや、六角ボアに追いかけられとんの? 運ないなあ、嬢ちゃん」 「じょ!? え、なに!?」 「ふーん。逃げ足は天下一品やけど……普通の人間ともちゃうなあ? あちきがちぃっと手ェ貸しましょか」  そんな言葉を言ってくれた途端、頭が軽くなり……後ろからは、『ぶもぉ!?』って叫び声と何かが倒れる音が聞こえてきた! 「……え?」  思わず、足を止めて振り返ってみれば……。  猫。  猪もどき。  猫の方は尻尾が二又だけど、倒れている猪もどきの前で……のんきにあくびをしていた。 「なーんや、骨のない。これやったら、嬢ちゃんでも倒せたんとちゃう?」  言葉を話す、猫の声はさっき会話していた相手と同じ声。
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