第3話 本能は抗えない

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 なにがなんだか、情報がいっきに入り込んできて……頭が痛くなりそうだったが。ここはしなくちゃいけないことがあった。 「……た、すけて……くれて、ありがとう」 「大したことしとらんで?」  美女神様とは違うけど、猫……多分、猫又……ちゃんは、もう一度あくびをしてから尻尾を揺らした。  その子が猪もどきから離れても、やつはぴくりとも動かなかった。 「……倒したの?」 「せやな。肉がちょうど欲しかったのもあるし……あちきには好都合やったけど、嬢ちゃんは違うやろ?」 「……思いっきり、逃げちゃった」 「戦う道具とか持ってないしなあ? あんさん、普段何しとる子なん?」 「……………………料理人」  威張って言えることではないけど。  あの美女神様には認めてもらえたんだ。  だから、猫又ちゃんに一言告げて……私は倒された猪もどきのところに近づいていった。
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