序章

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序章

 一目惚れと言う現象を聞いたことはあったが、まさか自分に起きるとは。 もう30に手が届きそうな自分が、15そこそこの小娘とも言える少女に。  ギルド前で行き倒れていた少女は、抱え起こした時はぼろきれから枝が突き出ているのかと思うほど痩せていた。  体は傷だらけで汚れ、皮膚も髪も艶がない。唇はひび割れ、目は…閉ざされてわからない。 大丈夫か?という俺の呼びかけに、うっすら目を開けると、西方の港町ヘルムヘイヴンに広がる海のような瞳が一瞬だけ俺を捉えた。心ごと。
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