話し合い

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第一声目には、何と言おうか、と頭をフル回転させる。 「付き合ってる人が居るの?」 「は? 何を言ってるんだ?」と惚ける。 「良いから正直に答えてよ」 「そんなの、居るはずがないだろう。どうして、そんなこと、聞くんだよ」 完全に嘘を吐いている。 何か証拠を持っているのかと、探っているつもりだろう。 「じゃあ遊び? 接待で遅くなるって言ってたのに、凄く良い香りのするボディーソープを付けて帰って来るから……」 「いや、そんなことないよ」 と言いながら目が泳いでいる。 そんな嘘で切り抜けられたとでも思っているのだろうか。 腹が立って、私は、いきなり決定打を出した。 「離婚する?」 「えっ、どうして急にそこまで飛躍するんだよ」 「急なんかじゃないよ! 最近の貴方を見てると、 夜ほとんど時間通りには、帰って来てないようね」 「仕事が忙しいから……それに俺だって仕事の付き合いもあるよ」 「大きな声を出さないで! 大輝を起こしたら可哀想よ」
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