アイをシル

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「レオ……おや、す……み」 「うん……愛しし、て……るよ……」 僕がレイナの最期の言葉に返事をしたと同時に、プシュッと音がしてレイナが完全にシャットダウンした。一人きりになった途端、激しい孤独感が一気に襲ってくる。愛しい家族を失った哀しみが、心臓を抉るように突き刺さる。 「レイナ……ひっく……ぐす……僕……僕は……」 ──そう、僕は人間じゃない。 こんなにも色々な気持ちが湧き上がる僕なのに人間じゃない。 こんなにも人を愛することを理解している僕なのに人間じゃない。 人間じゃなかったのだ。 機械の劣化で足がもつれて転び、自身の足の中身がレイナと同じ燃料が入っていることをさっき知るまでは、今まで一度も自分は人間だと信じて疑わなかった。 おそらく、ずっと僕が、人間だと思い込んでいたのは、僕を発明した父さんが、人間の『感情』を理解できるAIを生成することに成功したからだ。 どこからか忘れていた父さんの声が聞こえてくる。 ──レオ、お前は人間の心をもったAIだ。 人間は家族、恋人、友人……かけがえのない人たちのために、無償の愛を注ぐことができる生き物だった。僕ら人型AIには、どうしたって理解できない、一番複雑で知り得ない感情を父は僕という存在を発明したことによって立証したのだ。 ──愛してる そういって子供に恵まれなかった父と母はよく、レイナと僕の頭を愛おしそうに撫でてくれていた。 「……父さん……母さん……僕を産んでくれ、てて……あり、が、と……あい、愛して……る」
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