アイをシル

9/9
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
僕は薄らいでいく意識の中で、もう永遠に動かなくなったレイナをしっかりと胸に抱きしめると、そっと瞼を閉じた。 その瞬間、僕の頭の中で鳴っていた時計の針の音がピタリと止まり、僕は真っ白の世界へ吸い込まれていった。 僕は必死に消えていく記憶の中の温もりを忘れまいと両手を伸ばした。 これだけは手放したくない。 忘れたくない。 僕のタカラモノだから。 ──その優しい温もりの名前は……『愛情』 f8ac170c-18ea-4a3b-b0ac-c87c17f87757 2023.7.20 遊野煌 ※フリー素材です
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!