0人が本棚に入れています
本棚に追加
理不尽な世界から(後編)
「野外公会堂」
量子燃料サイクル機構の理事長が野外公会堂に聴衆を集め、量子爆弾開発の必要性について演舌している
「ステージ上の理事長」
「・・・と云う事で、私はですね、祖父の代から駐留軍の代理人として緊急事態協定の締結に力を注いで来た一族の一員として言っているのですよ、だから声を大にして言っているのですよ、量子武装せよ!と駐留軍が我が国に要請して来ているのですと、もちろん量子武装の次は当然の事として帝国臣民全員を駐留軍の傭兵部隊として運用するための軍事動員、つまり・・・」
「暗殺部隊の侵入」
まさにこの時、暗殺部隊が忍び込んで来た
「狙撃隊員」
警護の隙を突き、隊員一名が音もなく近づいて量子散弾銃の銃口を理事長に向ける
散弾は発射されたか、もしくは発射されなかったか、どちらかである
そして散弾は当たったか、もしくは当たらなかったか、どちらかである
つまり量子散弾銃を撃てば、四通りの結果の何れかが生じる
1.発射されたので当たった
2.発射されたが当たらなかった
3.発射されなかったので当たらなかった
4.発射されなかったが当たった
「発射音」
銃声が野外公会堂に轟き渡った
「ステージ上の理事長」
理事長がばったりと倒れた
即死だった
暗殺部隊は瞬時に撤収した
「帝都警察の現場検証」
緻密な現場検証が迅速に行われたにも拘わらず散弾が1発も発見されなかった事に言及する者は誰もいなかった
また死因は二転三転しながらも銃声に驚いて起こした心臓麻痺と云う事で決着した
疑義を呈する者もいるにはいたが、兎にも角にも燃料供与に反対する者がいなくなったことは事実である
「タンクローリーから給油」
暗殺成功の報告を受けた軍令部が量子燃料サイクル機構に睨みを効かせつつ帝国政府に助言したので、量子燃料は平行宇宙船へ供与された
「やっと帰れますね~」と言ったのは航海士
「量子エンジン始動」と言ったのは船長
「了解で~す」
「帰還する平行宇宙船」
理不尽な世界から飛び立った平行宇宙船は第1平行宇宙へ帰って行った
(了)
―― 奥付 ――
タイトル:
日本共和国臨時政府「理不尽な世界から」
CGソフトウエア:
ArtRage 3 Studio Pro アンビエント社
Photoshop Elements 10 アドビシステムズ株式会社
生成AI:
Image Creator マイクロソフト
本書はフィクションです
実在の人物・団体等とは全く関係がありません
また、本書は著作権法により保護されています
製品名等はメーカー等の登録商標等です
最初のコメントを投稿しよう!