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「それだけは教えることが出来ません」
「いくら払えば?」
「お金の問題では」
「わからないんでしょう?そうやって誤魔化して!」
常に冷静沈着な占い師の眉がぴくっと動いたのを月香は見逃さなかった。
「やっぱりインチキね」さらに煽る。
「あなたが運命を知ってその死を回避したら、別の誰かが代わりに死ぬだけです。それでいいとおっしゃるのならお教えしましょうか?」
今度は月香が追い込まれた。いいとは言いづらい!
「しかしつまらないことに、あなたは何歳かは言えませんが老衰で亡くなるまで目立った不幸もなく過ごします。可もなく不可もない人生を全うしますよ、よかったですね?老衰は回避不可で代わりの人もいない。これが当たっているかどうかは現状証明しようがありませんね」
不慮の死を回避してもどうせあとで死ぬとか別の人が死ぬとか、ファンタジー小説で読んだ話だ。だいたい回避してしまったら本当に死ぬ運命だったかも分かったものじゃない。
そのとき月香は閃いた。
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