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「自分で考えなさい。いつ一人前になるつもりなの?」
ウーロンハイを飲みながら黒は吐き捨てた。
ペーは自分の職業を急に思い出したように落ち着き払った。
「…私があなたのお話を受け入れたのは、それが出来ると思ったからです。事故が絡むと回避が難しいのですが、この連鎖に事故は含まれていないことが分かったからです」
「じゃあまた自殺志願者をなだめる日々が続くってわけ?」
「始めた以上終わらせなければいけないのですよ」
「あなたが始めたのよ?最後まで貫きなさい」
日本酒を盃で飲みながら黒が月香に言う。
運命の恐ろしさが身に染みて、月香にはもう抗う気力はなくなった。
最後はいつになるのか。それを思うとやるせない。
そのときふと
思い出した
最初の自殺者の救助のとき黒がビルの屋上から飛び降りようとした彼女にかけた言葉を
『少なくともあと五日、こらえてみてちょうだい。そのあとも心が救われなかったら私のところへいらして』
その日から、あすで五日目だ。
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