2 きっと、これだ。

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2 きっと、これだ。

   教室に着いてからもくすぐりの仕返しをしてくる香奈に謝りつつ、席につく。  腕を枕にして、目を閉じて考えてみる。  香菜のおかげで、少し気持ちが回復した。  だけど、もし。  香菜が言っていた、虫の知らせだとしたら。  元気がない分、悪い方に考えが行ってしまう。  田舎のお爺ちゃんお婆ちゃん、大丈夫かな。  お父さん、お母さん、友也は大丈夫かな。  友也は泣き虫だから、お姉ちゃんお姉ちゃんって泣いてないかな。胸がずきずきする。  みんなにチャットしておこうかな。  私も今日一日、気をつけて行動しよう。  不安ばかり。  なんだか怖い。  お婆ちゃんからチャットを打つ。  指が震える。  みんなからどんどんと返事が来る。  よかった。  というか、逆に心配されてるよ私。  ごめんね。  いやお母さん、違うから。  朝ご飯のお代わりしなかったからモヤモヤしてる訳じゃないってば!ふぬぬ。 ●  赤崎(あかさき)の机に、目をやる。  まだ、教室に来ていない。  いつものバカ話でもすれば、赤崎の笑顔を見れば、気が晴れるかもしれないのに。  ん?  今、突っつかれた……?  香奈? 「どしたの?」 「お客さんだよー」  香奈の視線を追うと、教室の入口で美優(みゆ)が笑顔で手を振っている。  どくん。  どくん。  どくん。  自分の心臓の音が聞こえてくる。  虫の知らせはきっと、これだ。  とうとう、この日が来たんだ。  ふわふわと力の入らない足を奮い立たせて。  毎日練習をした、顔いっぱいの笑顔で。  立ち上がる。
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