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3.襲撃
それからずっと学校の帰りは大雅と一緒だ。もう三日目になる。貴兄が大雅に命じたのは、行き帰りの私の護衛だった。
そんなわけで大雅は朝はカフェ・一善に、帰りは私のクラスまでお迎えに来る。
「姐さんっ帰りましょ!」
目立って仕方ないからやめて欲しいのに、大雅は教室の入り口から大きな声で私を呼ぶ。
「ついでに悪い虫がつかないようにアピールしとけってアニキが。自分だってやりたくてやってるわけじゃないんですけどね」
と、言葉とは裏腹にニヤニヤしている。
別に私に好きな人がいるわけじゃないから誰にどう思われてもいいんだけどね、いいんだけども! もう公然のカップルのように噂されているのを、半ば諦めの境地で放置している。
昇降口で三年と二年のそれぞれの靴箱に分かれた私は、やっと一人になってため息を吐いた。
と思ったら大雅が戻って来て、私は慌てて疲れた表情を引っこめる。
「姐さん、すみません。教室に忘れ物したんで、取りに行って来ます。すぐに追いつくんで先に歩き出してていいっすよ」
「了解」
と言うわけで私は先に校門を出た。
その日はギリギリ雨は降っていないものの、いつ降ってもおかしくないくらいの空模様だった。
ちょっと急いだほうがいいかな。今のところ何事もないし、大雅が追いつかなくても問題なさそうだったので、私は歩くスピードを上げた。
校門を出て少し歩いた時だ。
前から猛スピードのバイクが走ってきて、横を通り抜け様に水溜りの水を派手に跳ね上げた。その水を思いっきり被ってしまった私の制服はびしょ濡れになる。
ついてない……。私はため息を吐いて、去っていくバイクを睨んだ。
すると、二人乗りをしているバイクの後ろに乗っている人物が、こちらを振り返りながら笑った気がした。
ーーまさか、わざとだったの?!
その途端、嫌な予感がした。
バイクが何故かUターンして、もう一度こちらに向かって来たのだ。
逃げなきゃと思うのに、身体がすくんで動けない。バイクは真っ直ぐ私に向かってスピードを上げて迫って来る。
轢かれる……!
思わず目を瞑った。
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