イヴのくれた世界

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「残念ながら、あの子はもう長くありません。このままだと……もって半年かと」  皆が寝静まる夜更けの屋敷。リビングのドアの前で息を潜めながら、木漏れ日のように差し込んでくる会話を聞いていた。  まだ続く専属医師の声を掻き消すように、僕はそのままトイレへ向かう。  小さく波打つ心臓を震える手で押さえながら、ひとさじほどの息を吐く。  不思議なほど、いつもと変わらない音だ──。
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