運命のリベンジ

1/1
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

運命のリベンジ

 帰宅の為、俊輔と一緒に乗ったタクシーは首都高速に向かって空港外周道路を走っていた。  その時だった。空港の滑走路の方から眩しい光がタクシーに迫って来た。激しいジェットエンジンの音も耳に響いてくる。  それは着陸に失敗して滑走路をオーバーランし、空港のバリケードを壊して一般道に飛び出して来た発の極東航空ボーイング七八七だった。  私達が悲鳴を上げた時はもう遅かった。タクシーはその飛行機の主輪に踏み潰された。それは一瞬の出来事だった。  翌日のニュースが以下の様に伝えた。 『昨日は羽田空港で二件の極東航空機による事故が発生しました。伊丹からの三六便が東京湾に墜落し乗員乗客三八五名が亡くなりました。また約一時間後、岡山からの六六〇便が滑走路二二への着陸に失敗。滑走路をオーバーランして空港外に飛び出し、空港外周道路を走っていたタクシーと衝突しました。六六〇便の乗客乗員は全員無事でしたが、タクシーに乗っていた運転手と乗客二名が亡くなりました』 『非常に珍しい偶然ですが、タクシーで死亡した高山俊輔さんは当初伊丹からの四〇便に搭乗する予定でした。しかし直前に搭乗をキャンセルし新幹線で東京に向かっています。そして何故か羽田空港を訪れこの事故に遭っています。結局、彼は飛行機事故からは逃れられない運命だったとしか言い様がありません』  残念ながら運命のふたり(俊輔と綾)は予知夢の運命から逃れられなかった。 FIN
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!