予知夢

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予知夢

「行って来ます!」 「綾、いってらっしゃい。気を付けるのよ」  母の声を背中に玄関を飛び出す。その日は素敵な秋晴れで頭上には雲一つない綺麗な青空が広がっていた。でも私にはそんな感慨にふけっている時間は無かった。高校一年生の二学期まで皆勤賞だった私が今日は遅刻ギリギリ。八分後の通勤特急に乗れなかったら遅刻確定だ。  その時、突然、隣の家から飛び出して来た人にぶつかった。 「あっ!」  バランスを崩して転びそうになった瞬間、大きな手が私を支えてくれた。 「……綾。走ると危ないぞ」  その声に振り返るとそれは隣に住む同級生で幼馴染の俊輔だった。 「えっ、俊輔だって飛び出してきたんでしょ。気を付けてよね」  頬を膨らませながら彼を睨む。  俊輔とは同じ高校に通っている。だから遅刻の危機なのは同じだった。二人で駅に向かって走って行く。大きな国道に出てそこを右折すると駅まではもう少しだ。 「綾! 待って!」  その女の子の声に振り返ると国道の反対側をクラスメートの加奈も走っている。 「加奈、急いで」  時計を見てもう一度彼女を振り返ると、加奈は信号が無い国道を私達の方へ渡って来ている。  それは突然だった。加奈の後方から猛スピードで走って来た大型トラックが彼女を跳ね飛ばした。 「えっ?」  跳ね飛ばされ地面に投げ出された彼女をトラックのタイヤが轢いていった。
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