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鈴玉はゆっくりと腰を動かしたかとおもうと、片眼をぎゅっと閉じ顔をゆがませ動きを止めた。
処女でも千差万別、初めからすんなり受け入れる女性もいれば痛みを感じる女性もいる。
特に鈴玉は、先天的な脳や神経系の障害をもつ発達障害だ。周囲の人と同じ感覚情報を受け取っていても、脳が異なる捉え方をしている。そのひとつとして触覚過敏があった。
衣服についているブランドネームタグや洗濯表示タグ、縫い目などが肌に当たっただけでも、チクチクとした痒みや痛みを伴う感覚がある。
その触覚過敏が今、鈴玉の膣壁で起こっていた。けれども、極度の痛みと同時に腰が抜けそうなほどの快感を覚えていたのも事実だった。
「はあ~はあ~、うっ…アンッ! 紫音さんの、すごくすごく気持ちいい~の、けど、やっぱりまだ痛い…かもです」
「無理すんな。鈴玉、初めてやったらしゃーないわ、このまま俺の上でゆっくりくつろいどったらええ」
「優しいんですね」
「フッ」
紫音が鈴玉を見つめ微笑む。しかし、その時だった。プラグをコンセントにさすと電気が流れるように、突如、紫音の中に鈴玉の生い立ちや過去世などがドバッと流れ込んできた。
握手するだけで相手のことがすべてわかる照美。それほどの力はないにしろ、紫音もドッキングすると自然と相手のことがわかるようになっていた。それは先程の美女達や麻美やシェフも同じだった。だが鈴玉の過去だけは普通ではなかった。珍妙なというか一風変わっているものだった。
走馬灯のように鈴玉の現世での思い出や、遥か昔に鈴玉の魂が経験したことなどが次々と紫音の脳裏に映し出された。
見目麗しい女性とは裏腹に、たくさんの苦労をしてきたようだ。
そんな映像を心眼で見た紫音は、あることに興味を覚え鈴玉に問いかけた。
「鈴玉、お前が預けられた寺って、かなり特殊な寺やってんな」
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