秘められた才性

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 次から次へと襲ってくる快楽に身を悶えながら、雪麗(シュェリー)は驚きを隠せなかった。 (斉天大聖(せいてんたいせい)様って、私達の始祖でもあるのに…けどそっか、鈴玉(リンユー)のお婆さんは妙林寺の出身だったのね。ほんと、世間は狭いわね──でも、これではっきりしたわ、やっぱり紫音さんは人間じゃなかったんだ。私の身体がおかしくなってるのは、彼のせいね。そういえば、斉天大聖(せいてんたいせい)様もかなりの好色だったと聞いたことがあるけど、紫音さんはその先祖帰りなんだわ)  そう。雪麗(シュェリー)の先祖も突き詰めていくと斉天大聖・孫悟空だった。  人里離れたヒマラヤ山脈の麓の集落。そこで生まれ育った雪麗(シュェリー)も実は、鬼の血を引く一族だった。それに加え、雪麗(シュェリー)の一族であるチャナ族は雪女の末裔でもあった。極少数民族のチャナ族は大きく分けるとミベット族に含まれる。それも女ばかりの。不思議と女しか産まれない女系一族だった。したがって他の地から招き入れた男を種馬として扱った。  チャナ族は、遥か昔に孫悟空と雪女が交わってできた末裔だと伝えられている。さすがは紫音の祖先、女とあれば妖しだろうと見境がなかったのだろう。  そして、雪麗(シュェリー)には、資金を稼ぐため以外にも大きな使命があった。  一族の血を絶やさないために、数多(あまた)の人間の男と交わってきた祖先たち。けれど、力をもたない人間と交わり過ぎたせいで、本来の雪女と斉天大聖の力が失われてきた。一族の切なる願い。それは昔のように始祖の力を受け継ぐ者が一族から現れること。つまり、力のある(オス)を村に連れて帰り、チャナ族の若い女すべてとつがわせることだった。  渡りに船だった。すべてにおいて自分の処女を捧げる相手には不足はなかった。紫音の変態性を除いてはだが…
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