秘められた才性

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「いや、そんなことはない。おまえには雪女の力が宿ってると思う。今の段階でははっきりしたことは()えんけど、まだ女の部分と一緒で開花してへんだけなんや。せやから、そのセックスをした方がええんや」 「は? 意味がわからないわ」 「まあ、とりあえず、したらわかるわ」  この紫音がいうポリネシアンセックスとは、射精を目的としない交わり、つまり生殖行為を極限まで焦らして行うセックスだ。単なる体液の交換だけに重点をおくのではなく、気のエネルギーをも交換するというもの。 互いに身体だけでなく心も重ね合わすことで、これまでのセックスでは味わえなかった未知なる快感と精神的な繋がりで多幸感を得ることができる。  本来なら5日間かけてゆっくりと行う愛撫。それを紫音の淫靡な妖力で初めの4日間を短縮することができる。したがって、最後の1日で行う肉感と精神の交わりを、すぐに実行できるのだ。  この最後の1日のカリキュラムの内容はというと、挿入しても半時間以上は動かさないし、ピストン運動も行わない。その上で紫音は雪麗(シュェリー)と長時間、繋がっている状態をキープして、自分の妖力と神通力を使い雪麗(シュェリー)の眠っている雪女の妖力を呼び覚まそうと考えた。  さらに、雪麗(シュェリー)の過去世を辿(たど)り、孫悟空と雪女の関係を詳しく探ろうとしていたのだ。  ほとんどの生物の過去世は、先祖である血縁者に深く現れる。それは雪麗(シュェリー)とて例外ではなかった。おそらく千二百年以上前に存在した孫悟空と雪女。その何人目の子か、はたまた何世代目の子孫かはわからないが、雪麗(シュェリー)の魂が入っていたのは間違いなかったようだ。  それを、紫音が雪麗(シュェリー)から感じ取っていた。だからこそポリネシアンセックスなのだ。もっとも、最高にいい女とこのセックスをしてみたかったのもある。  紫音は、数ヶ月前に同じセックスを麗子ともしていた。あのときの麗子のなんともいえぬ(あで)やかな官能美と、そのとき感じた気持ち良さがになっていた。というわけで、自分のタイプでもある見目好い雪麗(シュェリー)とも、やってみたかった。そのような不埒(ふらち)な欲求も、ふつふつと湧き上がっていたのだ。
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