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高い内壁の角に監視カメラが3台設置されている。おそらくスピーカーとマイク機能もついているはず。
オロジャッジグループの幹部達が集まっている宴席では、200インチの超大型テレビが天井から降りてきていた。
皆で食事を楽しみながら、鬼隈と竜一を見定めようとしているようだ。
地下の閑散とした部屋には明かりが灯され、スピーカーから彪鬼の声が聞こえだす。
「さあ、竜一と鬼隈よ。この人の子達の心臓と肝臓と脳ミソをこっちに持ってきてくれ。ただし、恐怖を極限までに味あわせた後で、取り出してくれよ。そうすることで美味になり、長寿にも効く食材になる。特にアドレナリンを多量に放出した子供の脳は甘味があって、ことさら旨いからな」
「……」「……」
危胎に瀕する鬼隈と竜一。明らかに顔から焦りが滲みでている。打開策を練ろうとする鬼隈が瞬時に頭を働かせる。
(こんな幼い子供達の命を簡単に終わらすやなんて、できる訳がない。じゃあ、どうする? …………あかん、この状況では、どうしょうもあらへん。せやけど、このままなんもせぇへんかったら、おそらく俺らは…)
そう思った鬼隈が、竜一に念を用いて話しかける。
『万事休すやな、竜一、なんかええ手はあるか?』
『もう、殺るしかないやろ。このままワシらが何もしぃーひんかったら、間違いなくワシらが殺られる。それに、こんな悲劇に見舞われた子供らは、まだまだよーさんおるはずや。今はこの子らに犠牲になってもらって、ワシらが奴等の信用を勝ち取るんが先決や。他にもおる、よーさんの子らを救うためにもな』
いやに合理的な考えだった。だが、いうまでもなく鬼隈は承知しない。
『おまえ、真剣に言うてるんか?』
顔をしかめた鬼隈が竜一を一瞥する。
『仕方ない。他にええ方法なんてないはずや。奴らを甘ぉー見たらあかん』
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