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その後、鬼隈が天井にある照明器具に手のひらをかざし衝撃波を放った。
なんらかの策があったのか、それともヤケクソだったのか、隣にいる竜一も鬼隈が何をしようとするのかわからなかった。
一瞬で真っ暗になった部屋。だが、壁に設置されている監視カメラには暗視カメラの機能もついていた。すでに録画もされている。というのも、鬼隈と竜一が再び裏切った時のための保険をかけときたかったのだろう。彼らが子供達をいたぶり殺した映像が欲しかったようだ。
宴席のテレビには、5K映像からパッと切り替えられた白黒の画面が映し出された。
ひときわ大きなテレビ画面には竜一が手刀で、ひとりの子供の息の根を止めていた。それを目の当たりにした他の子供達は、逃げまどうこともできないほど体が震え、かたまっている。そうして次々と恐怖に満ちたままの幼子達が冷たいコンクリートに倒れていく。そうしたところを鬼隈が、その小さな身体から臓器と脳ミソを取り出している。
まともな神経の持ち主なら思わず吐き気をもよおす光景だった。とても直視することはできない。
それなのに、宴席では幹部達が大いに盛り上がっている。歓声をあげている者やゲラゲラと大笑いしている者も。誰一人、子供達を哀れむ者もいなければ、眉を潜める者もいなかった。
だが、その画面を見て冷ややかに笑う者達がいる。上座にいる四天王達だ。
「すぐに、奴らを捕らえろ! ワシらにこんな茶番を見せるとは、見くびられたもんよの」
先ほど竜一と鬼隈に指示をだした彪鬼が冷淡な口調でいった。
「やはり思った通りだで、こんな造作もないこともできぬとは情けないだで」
今度は、巴蛇が口を動かした。人の形をしているが、彼も四天王の一柱。この地に古くから存在する大蛇の妖しだ。大清国の古書、『山海経』海内南経によると、大きなゾウを飲み込み、3年かけてそれを消化したという強者の妖怪だ。
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