死練《しれん》

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 ことを終えた紫音。だが、彼女達の悶々とした欲望は、まだ満たされていない。    抱いた女に絶頂を迎えさせないのは男がすたるというもの。そんなポリシーを持つ紫音は、淫靡な舌で雪麗(シュェリー)鈴玉(リンユー)の肉芽や密穴を掻き回した。 「いや~ん !!」「うっ! あ~んっ!!」  とたん、悲鳴に近い色声が響き渡ると、突如、激しいエクスタシーが彼女達の全身を駆け巡る。  そのようなときだった。麻美(マーメイ)とスラッとした30ばかりの女性が部屋に入ろうとしていた。  麻美(マーメイ)の後ろにいる女性は、たくさんの洋服を吊るしたキャスター付きのハンガーラックを転がしてきている。 「お待たせしました」  部屋に一歩、足を踏み入れた麻美(マーメイ)が皆に声をかける。と、紫音達の情交を見るなり、(きびす)を返した。後ろにいるブティックのスタッフを足止めしたのだ。  真っ昼間なのに、皆が裸のまま悦楽に浸っている。(なまめ)かしい雰囲気も漂っている。それに、誘惑に満ちた淫靡な甘い香りと栗の花の匂いが混じりあっていた。  さすがに部外者をこの部屋の中へ入れる訳にはいかない。そう思った麻美(マーメイ)は、すべてが終えるまで外で待とうする。がしかし、2人とも、この香りを嗅いでしまったことで、淫靡な色香に当てられた。  突如、目の色が変わったブティックのスタッフは、色欲に犯され情欲の炎を燃やしだす。艶肌の太ももに愛液がつたう。麻美(マーメイ)も再び胸が熱くなり鼓動が激しくなる。魂が高ぶった2人は、ムラムラとした心持ちで紫音達のいるベッドへと向かった。  そのあとは、もうなにがなんだかわからない肉と肉のぶつかりあい。今や淫靡な色香を放った当の本人でさえ、収拾(しゅうしゅう)がつかなくなっていた。
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