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「そやから、エッチしてるときに自分らの血筋から可能性を見つけ出したんやって。それで、雪麗と鈴玉は孫悟空の子孫やっ、ちゅうんは知ってるわな。でも、2人とも種は一緒でも畑が違う。──知ってのとおり雪麗のご先祖さんは雪女や。で、鈴玉の方は妙林寺の創始者の尼さんやったんや」
「そうよ。でも鈴玉のご先祖さんって、あの裏少林寺って云われてる妙林寺の創始者だったんだぁ~、へぇ~」
雪麗が興味深そうに感心する。
「そうなの? それは初耳だったわ。でも、やっぱりそうだったのね」
鈴玉にも思うことがあり、どこか合点がいくように何度も頷いた。
「そう、だから2人とも違う潜在能力を秘めてるんや。ふんで、その能力をエッチしながら引き出しとったって訳や。で、女の方の血が濃い雪麗には、雪女の力が携わっとったから、それを今から試そうとしてるんや」
「そうだったのね、でも悪いけど、私にはそんな力はないと思うわ…」
「大丈夫や、それは俺に任せろ」
紫音がそう言うと雪麗の手をつかみグイッと強引に引き寄せた。
「キャッ! なに?」
紫音が雪麗を自分の隣に座らせた。そうして、雪麗の肩に手をまわす。
「じゃあな、このテーブルに置かれてるペットボトルの水を集中して見ててや」
「は、はい…」
雪麗の耳元で囁く紫音は、彼女の両方のこめかみに指先をそっと触れさせた。
「よっしゃ、そのままちょっと待ってや。──よしっ今や! ペットボトルの口に息を吹きかけろ」
「ふぅーー」
と、雪麗が桜の綻びのような唇を開き息を吐きだすと、素人が尺八を吹くような音がする。そのとたん、飲みかけのペットボトルの水面に薄氷が張りだした。
「えっ! 嘘でしょ! 雪麗ねぇーさん、すごい~」
それを見ていた鈴玉は、ペットボトルをもっと間近でみようと前屈みなる。
そのようなとき、充電中のスマホが鳴り響く。さっきからずっと気になっていた三郎太からだった。
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