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「あっ、やっと繋がった。紫音さん、大変や! アニキと竜一さんが奴らに捕まって、今日にでも処刑されそうなんですわ」
電話口の向こうの三郎太が悲壮な顔をしているのが目に浮かぶ。
「なんやて! で、サブさん、今どこですか?」
「今は、まだウイグラル自治区のなかですわ。でも、この場所がバレるんも時間の問題やから、すぐにどっかに移らなあきませんねん。それで、アニキが紫音さんに、作戦は失敗すぐに撤退せえって言うてますんや」
「えっ!? それでサブさんはこれからどうするんですか?」
「なんや知らんけど、アニキが捕まる前に9人の子供らを助けてたんですわ。せやから、その子らをどっかの施設かなんかに預けてから、俺、1人だけでもアニキらを助けに行こうと思ってますねん」
「そうなんや……で、処刑はいつどこでかわかりますの?」
「いつかはわからへんねんけど、処刑される場所はタクラマカン砂漠っていうとこらしいですわ。あいつらの組織のなかに潜入させてる仲間から聞いたんですわ」
「そうなんや……」
「そうっすわ。とにかく、紫音さんは大至急、日本に帰ってください。あっ! これ以上の長話は、探知されるかもしれへんので、切りますわ」
そう三郎太が言って、一方的に電話を切った。
「マジでか……」
「紫音さん、誰から?」「大丈夫ですか?」
雪麗と鈴玉が心配そうに紫音を見つめた。
「それより鈴玉、タクラマカン砂漠ってこっからだいぶん遠いんか?」
紫音がウイグラル出身の鈴玉に訊ねた。
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