鬼が出るか蛇が出るか

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「もぉ、だから、そのことは日本に帰ってからゆっくり話そうって…」 「そんな、悠長ことゆうてられません。紫音さんが、おひー様から言われてたのを知ってるんですよ。私たちも紫音さんの嫁として認めるって。そうおっしゃられてたのに、なぜ私たちにそのことをゆってくれなかったんですか!?」 「いや~それは条件付きやったからや……」 「その条件も、すべておひー様から聞きました。もしも子供ができたら、日本のために尽くす大人に育てることと、この前と今回のような有事の時には私たちも力を貸すこと。あとお盆とお正月には本家に挨拶に来るようにと。それができるんだったら、北条家の分家筋としても認めるとおっしゃってくれてたのですよね!」  そして、紅葉に続き杏樹も言葉を添えた。 「それと、麗子という天女の末裔も紫音さんの嫁として認めるつもりだと。で、こうも言ってました、私たち全員を平等に愛するようにさせると。ですが、それ以外の女性はに認めないと…」  という言葉にだけ力を込めた杏樹が真剣な眼差しを向けて言い終えると、今度は椿が言葉を発した。 「さあ、それで、紫音さんは私たちを嫁にするつもりはあるんですか!?」 「……いや、だから…」  煮え切らない紫音。それを歯がゆく思った三姉妹は、紫音に詰め寄り強い口調で声を揃えた。 「だから、!?」
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