鬼が出るか蛇が出るか

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「ちょっと待てって!! 今はそんなことを話してる場合やないんや! 鬼隈さんと竜一さんが今日にでも殺されるかもしへんって、今しがた三郎太さんから電話があったんや」  紫音が両手のひらを前にだし彼女達が距離を縮めてくるのを阻止した。 「えっ!? そうなの…」「なんですって!?」「マジで!」 「マジや! だから、その話は後や」  三姉妹は互いの顔を見合せ少し思いあぐねた末、再度、紫音を問いただすことにした。 「大丈夫、叔父様たちなら、そう簡単には死なないわ。それは私達が誰よりも知ってますから! ──それより、紫音さんの返答しだいでは、今からしようとすることを私達はボイコットさせてもらいますわ」 「…クッ……けど、さっきサブさんが悲痛な声で訴えてきとったし、マジでやばそうなんやけどな…」 「それでも、紫音さんの返答によっては私達は否が応でも動かないですから!」 「そうです、今回はちゃんとした返事をいただくまでテコでも動きませんし!」 「もぉ~、そろそろ、はっきりしてほしんですけどぉ~」 「なんや、もうここまできたら脅しやな…チッ、もぅ時間がないっちゅうねん。ふぅーー、しゃーない、おまえらは言い出したら聞かへんから、ほんまかなわんわ………。わかった、もう観念した。腹くくったわ、おまえらとも婚約する。そやから、今から俺が()うことをちゃんと聞いて欲しいんや」 「そうこなくっちゃ、これで最強の遺伝子ゲットだぜ!」  思わずガッツポーズをとった椿が声をあげた。紅葉と杏樹も目の縁を赤くして口を開く。 「よかった。聞き入れてくれて」「そうね、これでホッとしたわ」 「よし、もうこの話は終わりや、時間がない。じゃあ今から作戦会議を始めるぞ」
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