鬼が出るか蛇が出るか

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「おはよ~、こんにちは、こんばんは、このどれかよね~。この石の中に入ってたら昼も夜もわからくなっちゃうわ~。──あらぁ~、いつ見てもいい。紫音さん、たまには私にもヒィーヒィーって、言わせて~」  紅葉と杏樹の強烈なキックが頭に炸裂したせいで女になったクモコビッチが気持ち悪くも色っぽい声をだしている。 「おい、クモコビッチ、その女口調はキモいから止めろっていつも言ってるだろ!」  クモコノフがあきれ口調で声をあげた。 「お兄様、そんな酷いこと言わないで。もういい加減、慣れてよ~」 「おいおい、もうその辺でええか!?」 「はいはい、そうよね~、私達に用があってオーヴから出してくれたのよね~」 「そや、もう時間がないから単刀直入に言うぞ、彼らの主人の警護を頼まれて欲しいんや」 「な~んだ、そんなことか。それでその人はどこにいるのかしら?」 「いまはVIP席らしい、後でこの人らに案内してもうてくれ。それと、スナイパーがどこかに潜んでるかもしれんから、その辺も目を光らせといてくれるか?」 「わかったわ」「了解した」 「それと、雪麗(シュェリー)、最後まで試合を見届けたら大老さんのヘリでミベットに向かって欲しいんや」   「えぇ、わかったわ、大老さんにお願いしてみるわ。それで、紫音さんはどうやってウイグラルまで行くつもり?」 「それは、またおいおいに教えたる。とりあえず、女豹との試合を終わらせたら鈴玉(リンユー)を連れて仲間を助けに行く。そのあとは、妙林寺に寄ってからミベットに向かう手はずや」 「わかりましたわ、さあ、もう時間がないわ」  先ほどの紫音と紅葉らのやりとりをみて、複雑な思いをした雪麗(シュェリー)だが、気を取り直し紫音を急がせた。 「あと、さっきの凍らす術に磨きをかけといてくれよ」 「はいはい、それより早く」
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