ダマシアイ ~いかさま店 vs チート客~

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『どう、わかる?』  心配そうに紫音の顔を見上げる雪麗(シュェリー)。 『なんや、ちょっと変わっとるわ。あんな、このねぇーちゃん、初めに黒の20を狙ってからその後、赤の21とその隣の黒の2を思い浮かべてるんや。これってどういうことやろ?』 『うーん、ちょっとわからないわ。で、どうするの?』 『イーブンマネー・ベット(二者択一)でハイの方に賭ける』  ハイの数字は19~36、ローの数字は1~18。紫音はディーラーが狙っている3つの数字のうち20と21が入っているハイの方に賭けようと思ったみたいだ。  紫音は躊躇することなくハイの枠にオレンジチップを1枚滑らせた。他のプレイヤー達も十人入れば十色のようにカラフルなチップを卓上に置いて色を添えていった。 「ノー モア ベッド」  若い女の張りのある声が響き渡った。  そうして、ボールがウィールの縁を5、6度まわると遠心力から解放され、次第に下へと落ちていく。ボールは、スポットとスポットの間仕切りに当たり、ブラック20の枠に転がり込んだ。そのスポットに収まったと皆が思う。がしかし、勢いよくその場で回転し続けていたボールが突如、飛び跳ねた。次にボールが向かった先は、レッド21とその隣のブラック2のスポット。と、コトンっと音を立てて止まった。入ったのは、黒の2。 「チッ、外れたか」  紫音が苦い顔をしてつぶやいた。
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