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「ノー モア ベッド」
大半の客がレイアウト上にチップを置いたのを見て、賭けの受付の終了を告げた鈴玉は、今まさに勝ち誇った顔を紫音に向けていた。
(バカな男、とうとうつきに見放されたのね。これで持ち金、全部使い果たしたのかしら。フッフフ)
もうすでに鈴玉は、初めにレッド12のスポットで弾けるようにして、その後レッド25のスポットを狙ってボールを投げていた。
その最終着地地点であるレッド25には誰も賭けていない。が、赤と黒のスプリットベット(二者択一)の賭け方では、さきほどの教育ママふうの客とあと2人が賭けていた。ゆえにカジノの側の損はほとんど発生しない。
したがって、鈴玉は奥の事務所にいるスタッフに磁力を発生してもらう必要はなかった。
スピードが緩まったボールが落ちだし、カンッ、カンッと音を立てて数字の列に転がりだした。
そうして、鈴玉が狙った通り、レッド12のスポットでボールが弾くと、宙を舞った。
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