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もうすでに裸体の女性は、野獣化した男達の餌食になっている。
およそ40人はいるだろうか。すでに力関係ができているのだろう。順々に女の上にまたがっていく。ことが終わった後も女の顔の上で自慰行為をしている者、たわわに実った胸を荒々しく揉みまくり乳首にねぶりついている者。よほど女に餓えている者達のようだ。
6、7人目までは抗っていた彼女。やがて、拒んでいた掠れ声も出なくなり、険しい顔から苦痛に満ちた表情へ変わると徐々に力尽き、獣と化した男達になされるがまま貪られていく。
それを目の当たりにした鬼隈と竜一は、なぜか眉ひとつ動かさなかった。
「イヒヒヒヒ、どうですか、最高の余興でしょう? イヒヒヒ」
気味の悪い甲高い笑いをする老人。背中が曲がり魔女のような鼻に大きなイボがついている。おまけに年寄りなのに眼光が鋭いときている。この男性、ゆっくりと顔を上げ最初に竜一の反応を伺った。
「いやはや、なかなか面白い座興ですな。しかし、もうちょっと近くで見たかったもんですな」
「それはそれは、気が利きませんで…イヒヒヒヒ。そちらの鬼隈殿はいかがですか?」
「………」
しばらく無言の鬼隈。目を細めなければ見ていられない光景だった。そんな気持ちを圧し殺し気丈に振る舞おうとしている。けれど、言葉が出なかった。それを見ていた竜一が鬼隈の腕辺りを肘でこついた。
「あぁ、まぁ良かったんやが……正直なところ、あの女は俺のタイプではなかったのでイマイチやったな」
「イヒヒヒヒ、それはそれは、そこまでは気がまわりませんでしたね。イヒヒヒヒ──さぁ、この娘は今後どうなりますかね。普段は反抗的で、まあ言い方を変えれば気骨があるといえばそうなんですが……明日からはちゃんと言うことを聞いてくれると願っているんですがね。イヒヒヒヒ、しかし、この前の娘は気が触れて廃人同然になりましたかね。イヒヒヒヒ、まぁ、わたしにとっては、どっちでもいいんですけどね。イヒヒヒヒ」
完全に狂っている、それでいて試されている。オロジャッジグループを裏切り神族に寝返ったのだから、これぐらいのことはしてくるだろうと予想はついていた。
犯さず、盗まず、殺さず、欺かず。基本的な神仏の教え、いや、本来、理性ある者すべてに備わっている心だ。それを覆すようなオロチの教え、邪教ともいえる教示だ。
踏み絵のような試練を与えられた鬼隈と竜一。その後も自分の意思に反し悪人を演じなければならなかった。
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